ピラティスとは?ヨガと何が違うの?
姿勢改善やダイエット、ストレス解消のためのエクササイズとして人気の「ヨガ」と「ピラティス」。
ただ共通点も多いため、「ピラティスとヨガどっちが痩せる?」「効果・やり方の違いを知りたい」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
どちらも呼吸を取り入れたエクササイズなので、似ている部分も多いですが、実際にどんな点が異なるのかを探っていきます。
本記事を読むことで、「ヨガとピラティスの違い」「ピラティスの具体的な効果」「ピラティスに向いているのはこんな人」について理解できるので、ぜひ最後までご覧ください。
ピラティスやヨガの目的とは?
ヨガとピラティスの歴史や目的には、大きな違いがあります。この違いを理解することで、どのような人にピラティスが向いているかが分かります。
ヨガとは?
ヨガとは、古代インドで心身を鍛えるための総合的な健康法として生まれました。
「ヨガ」とはサンスクリット語で「繋がり」を意味し、心と身体は一体であるという考え方に基づいています。呼吸と瞑想を基本とし、全身を使ったアーサナとよばれるポーズをとることで心身を健やかに保ちます。
ピラティスとは?
ピラティスとは、ドイツ人のジョセフ・ヒューベルトゥス・ピラティス氏が提唱したメソッドで、体幹や深層筋(インナーマッスル)を鍛えてバランスのとれた身体にすることを目的としています。
ピラティスには主に2つの種類があります。
・マシンピラティス
マシンピラティスとは、ピラティス氏が開発したピラティス専用の機械を使用したエクササイズです。個人の状態に合わせて負荷を調節できるので、マシンで身体をサポートしつつ安全・効果的にエクササイズを行うことができます。マシンを使うことで、適度な負荷をかけることが可能となり、正しい姿勢・正しい動きを導きやすく効果が出やすいメリットがあります。
・マットピラティス
マットピラティスはマシンを使わず自重で行います。その手軽さから自宅でも簡単にできることが魅力です。ピラティスボールやパワーサークル、セラバンドなどを使用し、特定の筋肉を集中的に鍛えることができます。
ピラティスやヨガの歴史
・ヨガの起源は瞑想と呼吸法
ヨガは、現代では健康やフィットネスを目的とした運動として行われていますが、元々は古代インドに発祥した5000年近い歴史を持つ修行法です。
当初行われていたヨガは、瞑想や座禅の中心の修行になり、現代の私たちがイメージするヨガとは開きがあります。アーサナと呼ばれるヨガのポーズが組み込まれたのが、13世紀頃に生まれた「ハタ・ヨガ」というヨガの流派が台頭してから。身体を十分に使った動きと呼吸法を組み合わせて深い瞑想を導き出すのが、現代行われているヨガの原型になります。
1920年代、ヨガがインド国外で普及したことに伴い、世界で親しまれるようになります。特にアメリカで生まれたパワーヨガは、呼吸と動きのリズムを一致させながら、身体の歪みを取り、筋力と柔軟性を高めるように考えられました。2000年代に入ると、アメリカのハリウッドセレブを中心にヨガブームが起こり、日本にも影響を与えました。
・ピラティスの起源はリハビリ
ピラティスは、ジョセフ・ピラティス氏が自らの体調不良を改善するために開発したメソッドが原型です。第一次大戦時、ドイツの従軍看護士として勤務していたピラティス氏が、負傷兵のリハビリのためにその方法を発展させていきました。
第一次世界大戦後、自らのメソッドを広めようと渡米し、ニューヨークにピラティスのスタジオをオープンさせます。ダンサーからビジネスマン、セレブや映画スターなどさまざまな人たちが通う大人気のスタジオになり、現在では世界中で行われている人気のエクササイズとなっています。
ピラティスとヨガの効果の違い
ここまで、ヨガとピラティスの成り立ちを見てきました。次に、それぞれの効果の違いについて詳しく見ていきましょう。
ヨガで得られる効果
ヨガは、ポーズだけでなく腹式呼吸を行うことで、副交感神経を優位にし、リラックス効果を期待できます。自律神経のバランスを整えていき、ストレスのコントロールがうまくなるといわれています。
さらに瞑想を取り入れることで、日常の雑念を取り払い集中力をアップさせる効果も期待できます。
身体面だけでなく、心のバランスを整え、より深いリラックス効果を得たい方にはヨガをおすすめします。
ピラティスで得られる効果
ピラティスは、深層筋(インナーマッスル)を鍛えることで筋肉を強化し、体の歪みを解消します。骨や関節を本来のあるべき位置に戻すことで以下のような効果があるといわれています。
- 基礎代謝アップ
- 血流促進
- 腰痛改善
- 姿勢改善
- 産後のマイナートラブル改善
それでは一つ一つみていきましょう。
・基礎代謝アップ
深層筋(インナーマッスル)を鍛えることで、基礎代謝がアップし、消費エネルギーが増加するため、体重増加を防ぎ、引き締まった身体を作ることができます。
・血流促進
ピラティスには血の巡りを良くする働きがあるといわれています。
エクササイズ中に繰り返される呼吸で血液内に効果的に酸素を取り込み、全身の血行が促され、むくみ、冷え性の改善にも効果的です。
・腰痛改善
腰痛は長時間のデスクワークや運動不足などが原因で引き起こされます。ピラティスをすることで長時間同じ体勢でいることで弱った腹筋や、背中の硬さを軽減することが可能です。初心者でもできる軽い運動をすることで筋肉や関節に負担をかけずに、ゆっくりとした動きで深い筋肉を鍛えることができます。これにより、身体を無理なく使い、身体のバランスを整えることができます。
ただし、急性の腰痛や足の神経症状と伴う腰椎椎間板ヘルニア・腰椎すべり症を発症している場合は医師の適切な判断を受けることが必要です。
・姿勢改善
姿勢の要である骨盤や背骨を動かしてほぐし、姿勢を維持するための深層筋(インナーマッスル)を強化することで猫背や反り腰などといった姿勢の改善に役立ちます。
・産後のマイナートラブルの改善
長い妊娠生活と出産で体力が低下している産後は、身体は影響を受けやすい状態です。特に、出産で骨盤周りの筋肉や靭帯、関節がダメージを受けています。
ピラティスの無理のない運動によって体力を回復し、出産で傷んだ骨盤底筋のトレーニングを行うことで尿漏れなどのトラブル防止に繋がります。
ピラティスとヨガの違い
ピラティスとヨガは似ている部分もありますが、いくつか重要な違いがあります。
- 目的
- 呼吸
- 動き
これらの要素について説明します。
・目的
ヨガは、精神的な安定を目的にしています。身体を動かすだけでなく、瞑想や呼吸法を取り入れて、心と身体を結びつけ心身の安定を目指します。
一方で、ピラティスは「リハビリ」を目的に作られており、身体面からのアプローチをしていきます。体幹部の深層筋(インナーマッスル)を鍛えることで、しなやかで強い筋肉と歪みの無い正しい姿勢を作ることを目標としています。
・呼吸
ヨガでは腹式呼吸を行います。腹式呼吸のやり方は、お腹を前に膨らませるように深く息を吸い込み、お腹がへこむまで息を吐ききるというもの。この深い呼吸によって副交感神経を刺激し、リラックス効果を高めます。
一方でピラティスは胸式呼吸を行います。胸式呼吸はお腹を締めて、胸や肋骨にある肺を広げる呼吸法です。この呼吸によって交感神経が優位となり、身体を活性化させ、頭がスッキリするという効果もあります。
・動き
ヨガの流派にもよりますが、日本に多い「ハタ・ヨガ」の場合、深い呼吸をしながら同じポーズを長時間キープすることで、身体の柔軟性を高めていきます。
ピラティスは常に身体が流れるように動きながら全身の筋肉を効率的に動かすことが可能です。またポーズが続く間は、身体に意識が向くので集中力もアップするといわれています。
参考:
ピラティスが選ばれている理由とは?
ピラティスは、体幹部の深層筋(インナーマッスル)を鍛えて基礎代謝を上げます。基礎代謝を上げることで、エクササイズ中の呼吸は胸式呼吸を行うため、交感神経を優位にして心と体を活性化させる効果も。
ピラティスの生みの親、ピラティス氏は繰り返し行うことで、自分の感覚、見た目、そして心身共に変化していくことを謳っています。身体を鍛えたい・ボディメイクをしたい、体重を落としたいという方には、ピラティスの方がおすすめです。効果を挙げるためにも継続して練習をしましょう。
ピラティスを行うとこんな効果も?!
ピラティスにはダイエットやボディメイク以外にも次のような効果があります。
・睡眠の質の向上
ピラティスで運動を継続することで、睡眠の質の向上が期待できます。
よい睡眠を促すために必要な「メラトニン」。このメラトニンを作り出すために必要な材料が、幸せホルモンとよばれる「セロトニン」です。
セロトニンを増やすためには、運動が重要な要素の一つになります。
国内外の疫学研究において、運動習慣がある人には不眠が少ないことがわかっています。運動は激しすぎるものは避け、適度にリズムがあるものがいいとされています。
ピラティスは動く瞑想といわれ、同じ動きを繰り返して行いますので、セロトニンを増やすための運動に最適です。
また体幹を鍛えることで血流が改善され、姿勢がよくなることで余計な筋肉や関節に負担がかからず、リラックスした状態で眠りにつくことができます。
・集中力を高める
ピラティスのトレーニングは身体をコントロールすることを重視しています。内側に意識を向けて身体を正確に動かし、集中することで「動く瞑想」状態になります。自分の今の状態に目を向けることで、感情のコントロールができるようになり、心をリフレッシュすることができます。
・不妊の原因の解消
運動不足になると血液の流れが滞り、不妊の原因の一つになります。血流をよくし、基礎代謝をあげるためにも運動習慣をつけることは大切なことです。
運動には、ピラティスが効果的です。ピラティスは初心者でも続けやすく硬くなった身体をほぐし、血流が改善される効果があります。
もし不妊で悩んでいてどのような運動をしたらいいか分からない、ピラティスが不妊の治療にあっているか分からないという方は一度医師に相談してから行いましょう。
参考:
ピラティス経験者の声
実際にピラティスに通っている人たちの声を聞いてみましょう。ダイエット、姿勢改善、肩こり・腰痛に効果があるという方が多いようです。体験者の声を聞くことで「私にもできるかも!」「これならやってみたい!」という気持ちになれるはずです。
30代女性
ピラティスを始める前は、産後に体重が落ちず、腰痛や肩の痛みで悩んでいました。ピラティスを始めて3ヶ月で体重が5kg落ちました。家族からも「見た目痩せたね!」と言われ、腰や肩の痛みもなくなりました!
40代女性
デスクワークで肩こりと腰痛がひどかったので整骨院に通っていましたが、なかなか良くならず…ピラティスを行うことで腰痛がなくなり、肩こりも楽になりました。O脚もよくなって身長が少し伸びました!
20代女性
ピラティスを継続的に練習することで、以前から通っていた整骨院の先生から「歪みが治っていますね」といわれました。今まで身体が歪んでいたので、デスクワーク中に足を組んで座っていましたが、足も組まなくなり、姿勢改善にもつながりました。
まとめ
本記事ではヨガとピラティスの違いを解説してきました。
ヨガとピラティスは、それぞれ成り立ちや目的が異なるため、どちらが良いかは一概には言えません。
ヨガは精神面にフォーカスするのに対し、ピラティスは身体的な面に焦点を当て、身体を鍛えることに重点を置いています。
インナーマッスルを鍛えて姿勢改善をしたい、基礎代謝をあげて痩せたいという方にはピラティスをおすすめします。
効果を得るために大切なのはインストラクターから正しい指導を受け、継続的に練習することが必要です。実際にピラティスのスタジオなどに足を運ぶなどして、ご自身に合うか体験してみてください。