近年、スマートフォンの使用やデスクワークが多くなり、猫背に悩まされる人が増えています。
猫背になってしまうと見た目が悪くなるだけでなく、肩こりや頭痛などの身体への悪影響を引き起こす場合もあるため、早めに改善することが大切です。
ピラティスは猫背や骨盤の歪みに効果抜群といわれており、姿勢改善にはおすすめのエクササイズとなっています。
この記事では、ピラティスが姿勢改善に良い理由やピラティスで効果を出す方法など、正しいピラティスの知識と取り組み方についてご紹介します。
また猫背を引き起こす原因や身体への影響についてもまとめているので、「猫背を治したい」「姿勢を良くしたい」という方や、猫背により痛みが出ている方もぜひ参考にしてみてください。
猫背とは?
猫背とは、猫のように背骨が丸まった姿勢のことを指します。
人間の背骨は24個の骨が連なってできていて、上から頸椎(けいつい)、胸椎(きょうつい)、腰椎(ようつい)と呼ばれ、本来は自然なS字カーブとなっています。
ですが猫背の場合、背骨が自然なS字カーブを維持できた状態ではなく、胸椎が丸まった状態ということです。
そして、猫背の状態では正しい姿勢が維持できていないため、肩や腰など他の部分へ負担がかかり、痛みなど悪影響を引き起こす場合があります。
また猫背にもいくつか種類があり、背骨の「どの部分が丸まっているか」によってパターンが分けられています。
それぞれのパターンごとの猫背によって見た目や身体への影響も変わってくるので、詳しくみていきましょう。
猫背の種類
猫背には大きく分けて以下の4つの種類があります。
①首猫背(頭が前にでる猫背)
②背中猫背(背中の中心が丸まる猫背)
③腰猫背(腰が丸まる猫背)
④腹猫背(反り腰猫背)
これらの猫背は背骨の丸まっている部分を基準として種類が分かれています。
では、それぞれの種類についてご紹介していきます。
①首猫背(頭が前に出ている猫背)
首猫背は横から見た時に、頭だけが必要以上に前に出ている状態となっています。
「ストレートネック」とも呼ばれ、頸椎に歪みが生じてしまっている状態です。
スマートフォンやパソコンをよく使う方に起こりやすく、「スマホ首」ともいわれています。
身体への悪影響も出やすくなっていて、特に首こりや肩こり、頭痛などの症状が出る場合が多くなっています。
②背中猫背(背中の中心が丸まる猫背)
背中猫背は、横から見た時に背中の中心部分である胸椎が丸まっている状態となっています。
「一般的な猫背」といわれており、正しい姿勢を維持するために必要な背中の筋肉が低下することによって起こりやすくなっています。
背中猫背になってしまうと、より背中の筋肉を使えていない状態が続くため、さらに筋力が低下していき、結果的に猫背を悪化させてしまう場合もあります。
③腰猫背(腰が丸まる猫背)
腰猫背は、横から見た時に腰が必要以上に後ろにあり、腰椎が丸まっている状態となっています。
腰回りの骨盤を支える筋力が低下することにより起こりやすくなっているため、高齢者に多い猫背でもあります。
腰猫背は、腰椎が通常より後ろへと歪んでしまい、骨盤が後ろに傾いてしまっています。
そのうえで、上半身は前側に倒れている姿勢となるので、腰への負担が大きいため腰痛になりやすく、悪化すると椎間板ヘルニアなどを引き起こすこともあります。
④腹猫背(反り腰猫背)
腹猫背は、横から見た時にお腹部分が必要以上に前に出ていて、胸椎が後ろに傾くため、強いS字カーブとなっている状態です。
骨盤が前に傾いた、いわゆる反り腰という状態となっています。
一見、猫背には見えませんが、骨盤が前に傾くことにより通常よりも胸椎と頸椎のカーブが強くなっています。
そのため腰と首への負担が大きくなり、腰痛を起こしやすくなります。
また、反り腰状態のためお腹が前に出てしまい、正しく腹筋を使えていないのでぽっこりお腹にもなりやすいです。
猫背を引き起こす原因
猫背を引き起こす主な原因は、筋力の低下と生活習慣といわれています。
正しい姿勢を維持するには背骨と骨盤周りの筋肉が、背骨を正しい位置で保てるように支えることが必要となります。
しかし筋力が低下することによって、背骨や骨盤に歪みが生じて背骨を支えることができず、猫背となってしまいます。
特に、骨盤周りのインナーマッスルが正しく使えていないと骨盤に歪みが出てきやすく、猫背になりやすいといわれています。
もうひとつの原因の生活習慣については、スマートフォンやデスクワークなどによる長時間同じ姿勢でいる習慣が大きく関係しています。
現代の日常生活では、スマートフォンやパソコンを使う場面が増えてきて、自然と前かがみになることが多く、姿勢の悪い状態が続いてしまっています。
また、勉強しているときや食事中など気付かないうちに猫背になっていることも多くなっています。
私たちの普段の生活習慣の中で、無意識に猫背になっている人が多く、気づいたときには痛みなどの症状が出てしまっていたということはよくあります。
そして猫背になると、正しく姿勢を維持するための筋肉が使えていない状態が増えるため、さらなる筋力低下に繋がり悪循環となってしまいます。
猫背が引き起こす悪影響
猫背が引き起こす悪影響には、以下のようなものがあります。
・ストレートネック
・肩こり
・頭痛
・腰痛
・冷え
・疲れやすくなる
・ぽっこりお腹になる
・内臓機能の低下
・自立神経の乱れ など
猫背になることによって、通常では負荷のかからない部分に余計な負担をかけてしまうため、歪みや痛みなど身体への悪影響を引き起こしやすくなります。
猫背は自分ではなかなか気付かないことも多く、気付いた時には、首こりや肩こり、頭痛などの症状に悩まれている人も少なくありません。
また人間の正しい姿勢というのは、見た目だけでなく内臓を正しい位置でキープすることや血液の流れにも大きく関わっています。
そのため、猫背の状態では臓器を圧迫してしまったり、血流を悪くしてしまい、悪化すると脳梗塞や心不全といった恐ろしい病気に繋がってしまうこともあるといわれています。
猫背の状態が長ければ長いほど、身体への悪影響は起こりやすく、改善しにくくなるので、なるべく早めに改善するようことを心がけましょう。
ピラティスは猫背を治すにはぴったりのフィットネス
ピラティスとは、身体の柔軟性を高めること、インナーマッスルを鍛えること、バランスを整えることができるエクササイズです。
ピラティスは正しい姿勢の維持や歪みにも効果抜群といわれているため、猫背の改善にもぴったりのエクササイズとなっています。
猫背の改善に繋がる理由としては、ピラティスをおこなうことによって以下の効果があるためだといわれています。
・背骨に沿った多裂筋を伸ばすことができる
・インナーマッスルを鍛え、姿勢が正しくなる
・身体の左右のバランスを整える
では、それぞれの効果についても詳しくご紹介していきます。
背骨に沿った多裂筋を伸ばすことができる
多裂筋とは背骨の周辺にある筋肉(インナーマッスル)で、背中を反る動作に関わっており姿勢保持のために重要な役割を果たしています。
ピラティスではストレッチのようにゆっくりとした動作もあり、身体の柔軟性を高めることができるため、多裂筋を伸ばすこともできるようになっています。
多裂筋の柔軟性を高めることによって、筋肉の緊張がほぐれて動きが良くなり正しい姿勢を保つことができるため、猫背の改善にも繋がります。
インナーマッスルを鍛え、姿勢が正しくなる
インナーマッスルとは、身体の深層にある身体を支えるための筋肉です。
ピラティスは動きと胸式呼吸を使っておこなわれるので、インナーマッスルへしっかりとアプローチすることが可能となっています。
猫背改善には、このインナーマッスルを鍛えることが必須となっています。
なぜなら、背骨から骨盤周りのインナーマッスルが背骨を支えることによって、正しい姿勢を保つことができるようになっているからです。
インナーマッスルを鍛えることで、背骨から骨盤を正しい姿勢で支えてくれるコルセットとなってくれます。
ただしインナーマッスルを鍛えるには、身体の表層にあるアウターマッスルのように回数や重さなど大きな負荷をかけて筋トレをすれば良いということではありません。
インナーマッスルは小さな負荷でゆっくりとおこなうことで鍛えられる筋肉であるため、ピラティスで鍛えることがおすすめとなっています。
身体の左右のバランスを整える
猫背などにより姿勢が悪くなると、身体の左右のバランスも崩れてきます。
特によく足を組む方や片足重心となってしまう方は要注意です。
ピラティスは、身体の左右のバランスも意識しておこなわれており、骨や関節が正しい位置で動かせるようになることも目的とされています。
そのため、ピラティスには身体の左右のバランスを整える効果もあります。
身体の左右のバランスを整えることによって傾きがなくなるため、正しい姿勢を維持することにも繋がってきます。
ピラティスで効果を出す方法
ピラティスで効果を出す方法としては以下の3つがポイントとなってきます。
・ピラティスを継続しておこなう
・マシンピラティス
・自分に合った環境を選ぶこと
ピラティスは取り組み方や回数によって効果の出方が変わってきます。
せっかく姿勢改善のためにピラティスに取り組むのであれば、効果をしっかりと発揮できるようにしたいですよね。
なので、ピラティスで効果を出す方法を3つをそれぞれ詳しくみていき、より効果を出せるようにしていきましょう。
ピラティスは継続することで効果がより出やすい
ピラティスで効果を出す方法のひとつは、エクササイズを継続しておこなうことです。
ピラティスは1回のエクササイズですぐに効果を実感できるものではなく、継続することによって効果が高まり実感できるものとなっています。
ピラティスで効果を出すために効果的な回数は週に4回程度といわれており、日常生活の中にピラティスが含まれていることが理想的といわれています。
ですが、週4回となると忙しい方や初心者の方には難しい場合もあると思います。
そのため週に2回〜3回でおこなわれる方も多くなっていますが、効果を感じることはできています。
ピラティスは回数よりも継続しておこなうことが大切となってくるので、無理のない範囲でおこない長く継続できるようにしましょう。
また、1回1回のピラティスの効果を高めるには、質の高いエクササイズをおこなうことが重要となってきます。
ピラティスは、呼吸法と筋肉を意識しておこなうことでより効果を発揮しやすくなっています。
ひとつひとつの動きへの意識を変えるだけでも、1回のピラティスの効果を高めることができます。
マシンピラティスがおすすめ
ピラティスでより効果を出したい場合は、マシンピラティスがおすすめです。
ピラティスには大きく分けて2通りのやり方があり、マットの上でおこなうマットピラティスと専用の器具を使って鍛えるマシンピラティスがあります。
マシンピラティスは、エクササイズ内容によってさまざまな専用マシンを使うことができ、自分に合わせて鍛えることができます。
マシンピラティスの特徴としては、エクササイズの種類が多く、鍛えたい部分にしっかりとアプローチすることが可能であることです。
マシンを使うため難しく感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、専用マシンをひとりひとりに合った負荷に調節できるため初心者でも使いやすくなっています。
自分に合った環境を選ぶ
ピラティスを自分に合った環境でおこなうことも、より効果を出すためのポイントとなってきます。
ピラティスで効果を高めるには、呼吸法とアプローチしている筋肉に意識を向けて質の高いエクササイズをおこなうことが大切です。
そのため、リラックスした状態で集中して取り組める環境が望ましいです。。
またピラティス初心者の場合は、自分ひとりで呼吸法と筋肉を意識することは難しいので、効果をより出したいならプロに教えてもらうレッスンに通うこともおすすめとなっています。
ピラティスの効果を高めるためにも自分に合った環境を選び、継続して取り組みましょう。